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不良の彼は 甘くて強引
第15章 実家
匠さんについて
すごく、詳しいんだな…。
水着を見比べる紗織を眺めながら、柚子は羨ましく思っていた。
わたし
また嫉妬しちゃってる。
でも不思議と…前みたいに悲しくはないんだよね。
「ねぇ、柚子ちゃん」
「何ですか?」
こちらを見ないままに紗織は柚子に話し続ける。
「わたしね…、匠にふられちゃったの」
「…ッ…!?……どういうことですか…?」
「そのままの意味よ」
言葉に詰まる柚子をよそに、紗織は一着の水着を引っ張り出した。
「これ、どう?」
紗織が選んだのは
紺色地に白の水玉模様。
胸元にはリボン付き。
比較的、柚子も好きなデザインだった。
けど……
「この前着た浴衣と、同じ組み合わせで…」
「そうなの?なら…──」
これは?
と代わりに紗織が出したのは
ブラウンのボーダー柄に、白地が映えたデザイン。
こちらも胸元にふんわりとリボンが付いていた。
シンプルな型だが、そのリボンが女の子らしいボリューム感を作っていて、それでいて品も良い。
「柚子ちゃんにはピンクとか水色より、こっち系が似合う気がするわ」
でも確か、以前に匠さんが選んでくれた服と同じ組み合わせよね…。
いや、あの服こそ正真正銘の彼の好みなのだから、少なくともハズレではないはず!
「わたし…これ買います!」
柚子はその水着を受け取ろうとした。
「いやっ」
「え!?」
「…これはわたしからのプレゼントよ!!」
「えー!?そ、そんなの悪いですよ!!」
慌てて断る柚子だが
一度言い出したことを変えないあたり、紗織は匠にそっくりだった。