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不良の彼は 甘くて強引
第15章 実家
「大学は楽しいか?」
葡萄を摘みながらテレビを見る柚子に父が問いかけた。
「…うん、って…いつもそう電話で言ってるよっ」
それしか聞くことないの?
我が父ながら、その不器用さが面白かった。
「法学は、入った後が大変だろう」
「そうだね…、覚えることがいっぱい」
「…進路は決まったか?」
「……」
進路…
一口に法学部と言っても、その先の進路は無数にある。
企業に勤める人も多いし
勿論、裁判官、検事、弁護士…
法律関連の職を目指す人もいる。
入った時の柚子のイメージは、何となく弁護士らへん…そんな感覚だった。
「まだ…、決めてない」
柚子にはわからなかった。
自分は何をしたいのか。
ただ、人を助ける職業
=医者or弁護士。
動物実験や解剖ができないので、なら弁護士。
そんな短絡的な考えで柚子は法学に進んだ。
高校の教師に、どんな仕事も人を助ける職業だと言われた時…柚子は何も言い返すことができなかった。
「別に焦る必要はないわ、まだ1年だもの」
「そうだな」
黙ってしまった柚子に、両親は優しく声をかけた。