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不良の彼は 甘くて強引
第16章 海

「なんか…すれ違う人がこっち振り返って見てますね」

柚子は周囲から注がれる視線に気づき、気まずそうに言った。


「俺がイケメンだからな」

「・・・」


んー、どっかで読んだ小説では確か…

「君が可愛いからだよ」

だったような気がする…。


“まぁ、本当の事だけど ”


それくらい、今日の彼は素敵だったから──。






.......





「あの…、本当にこれで行くんですか?」


駅前に止めていたバイクに匠がまたがる。


「何が悪い、さっさと乗れ」


バイク怖いんだけど…
しょうがないか。


柚子はしぶしぶ匠の後ろに乗った。

風で飛ばないよう、帽子はとっておく。



「落ちるなよ」


エンジンがかかる。



えっ、ちょっと待って…!!



「匠さん!ヘルメットは…………!?」


「そんなもの持っていない」


「…だ、駄目ですよっ…そんなの…! 道路交通法の違反です……!!──…………きゃあッ──!!」




黙れという言葉とともに
バイクは勢いよく走り出す。


柚子の腕が精一杯の力で匠にしがみついた。








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