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不良の彼は 甘くて強引
第16章 海




ザザー──


打ち寄せる波音


夏の海にはかかすことのできない、この音。


横に長く広がるのは白い砂浜。


碧いはずの海は、陽射しが海に反射してキラキラと光り

真っ白なベールをまとってしまった様子だ。


潮の香りが辺り一面に漂い
海に来たという実感が湧いてくる。



ただ今の彼女は
それどころではないみたい…。





「おい、どうした」


海の家の脱衣所で着替えてきた柚子は、恥ずかしそうに俯いていた。


「…おい」

「あッ、ちょっと待って…!」


肩を引き寄せた匠に、柚子の顔は益々赤くなる。


素肌と素肌が直に触れ合い
彼の逞しい腕と胸板に直接包まれる──


こんなの
誰だって照れる…!!


それに自分の姿もまた、心細くて仕方がなかった。


初めてのビキニ。

膝丈のスカートですら落ち着かないのに、この露出量は彼女にとっては裸も同然。

慣れるまでは落ち着かない。



「…水着が恥ずかしいのか」

「そんなことは…!」

「安心しろ、…隠すような身体ではない」

「…む」



どうせわたしは胸もそれほど大きくないし、お尻だって…。



少しふくれた柚子


それを見て匠はクスリと笑う。



背後から柚子の肩をつかみ、耳元に囁いた。



「…っ」

「恥じるような身体じゃないから……堂々と歩け、…そういう意味だよ」


「……//」


まったく…
なんて人だろうか……!!




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