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不良の彼は 甘くて強引
第16章 海



「お前じゃ無理だな」



背後からの声に男たちは後ろを振り向く。


濡れた前髪を掻きあげ、匠が男たちの足下を眺めていた。


「──…」


無言のまま、男たちは彼に身体を向けた。

同時に匠の目線が、足下から顔へとゆっくり上がる。


柚子の横に座っていた男も彼女の腕を掴んだまま立ち上がった。




「…、よぉ市ノ瀬」


一人の男が沈黙を破った。



「…そいつの手、離せ」

「やっぱお前の女か?いいじゃん、俺らにも遊ばせろよ」

「論外だな」

「ケチケチすんな、…仲間だったんだからよ」


異様な雰囲気の中、男たちの話は続いた。



「お前らみたいな低脳な連中と仲間だった覚えはない」


「……っ!!」


その言葉に、男たちの拳が怒りで固く震えている。



「……確かに俺らは低脳かもな、この裏切り者」

「俺達と同類のくせして、あんな大学に通い始めやがって……!! エリート野郎が」

「……」


匠は溜め息でかえす。




「しかも医学部とはな。お前が医者とかマジで笑えるぜ?」


「……」


「親父さんの復讐でもする気かよ!?」



その言葉に、匠の眉がピクリと動いた。




「…黙れ」




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