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不良の彼は 甘くて強引
第16章 海
逃げようと腕を振り切ろうとしていた柚子は、突然…男の胸に抱きつくようにピタリと身体をつけた。
「…あ!?」
彼女の不意な切り返しに、驚いた男の手の力が一瞬ゆるまった。
“チャンス……!! ”
その一瞬を狙い、柚子は身体を回して腕を掴む手を剥ぎ取る。
と同時に、男の顎にめがけて渾身の頭突きが炸裂した。
手を振りほどく技は、護身用に何度も合気道教室で練習していたものだ。
最後の頭突きは彼女のオリジナルだが…。
よろめく男から逃げようとする柚子。
だがそれでも間に合わなかった。
「きゃっ!!」
後ろから飛びかかってきた男に、砂浜に押し倒される。
バチッ!!!
頬を思い切り叩かれた。
「いたッ…!!」
「てめぇ!!調子にのんなよ!!!」
柚子の頭上に再び腕が振り上げられる。
「…!!!」
目を閉じる柚子。
「…っ!!!」
しかし柚子を押し倒していた男の顔に
匠の蹴りが入った。
「──…隙だらけだ」
「…え?」
男の身体が柚子から離れる。
見ると、匠が蹴り飛ばされた男の胸ぐらを掴んで立たせていた。
後ろを振り返ると、3人の男たちが胸や腹を押さえて苦しげに喘いでいる。
“助かった…”
ガタガタと震える身体を抑えて、柚子は上半身を起こした。