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不良の彼は 甘くて強引
第17章 深海の魔物
岩場に入り込み、一見外のビーチからは死角となるその場所に、匠は柚子を下ろした。
掛け布団にくるまっていた彼女は、そっと脚下にそれを敷く。
だがそれは不必要だったかもしれない…。
敷くものなど無くとも、その場所の砂はサラサラと心地よく柚子の脚を包んだ。
二人が身に着けているのは泊まった所で貸し出されていた薄い浴衣が一枚。
柚子はその下は下着のみという極端な薄着だったが、夏の夜はそれでも蒸し暑く、海からの冷たい風がその肌に丁度良い。
柚子を下ろした匠は彼女の横に自らも腰をおろす。
ザザーー…
しばらくそのまま、二人は黙って波の音に包まれていた。
空を見上げていた匠の顔が、隣の柚子を覗き込む。
彼の手が柚子の顔に伸ばされその指が彼女の黒髪を一筋絡め取った。
戸惑う柚子の肩が、一瞬、ピクリと反応する。
「……」
「…っ…??」
「俺が怖いか…? ……柚子」