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不良の彼は 甘くて強引
第18章 因縁
“そんなにおかしなことだろうか…”
確かに普通の恋人ならもっと頻繁に会うものかもしれない。
遠距離恋愛ならまだしも同じ大学に通っているのだから。
ただ学部も学年も異なる二人は同じキャンパス内にいようと滅多に巡り会うことはないし、互いに余裕がないのも理由のひとつだ。
「仕方ないよね…」
柚子はそれを苦に思うことはない。
彼女にとって、匠と過ごす時間は刺激が強すぎるものでこのくらいの頻度でむしろちょうど良かった。
メールなんて、どんな文面を送ればいいのかすら全く浮かばないし…。
このくらいでいい。
“ただ…、気になることがあるとすれば……”
匠と柚子、二人が会うのは決まってキャンパス内。
つまり、はちあわせたり、空いた時間に会ったりということで。
初めはそれでも十分だったし、今でもそれを不服としているわけではないけれど…。
夏に海に行って以来、二人でどこかに出掛けるという誘いがあったことはない。キャンパスの外で会うことを避けられているような気さえしていた。
それが彼の忙しさが原因だというなら、何の不満もない。
でも心のどこかでは
ちょっぴり寂しかったりして…。