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不良の彼は 甘くて強引
第19章 異変
「だって先輩、絶対に女の人にモテモテですよ」
あまりにもストレートな言い方だが、これは柚子の本心なのだから仕方がない。
そんな彼女に翔は微笑み
ゆっくりと瞬きをした。
「好きな人はいるんだ、……片思いだけどね」
「先輩が片思い…」
…有り得ない
いったいどんな女( ヒト )なんだろう。
「その人に告白はしたんですか?」
「…いいや、できないんだ……彼女にとって俺はまだ眼中にないみたいだから」
口元には笑みを浮かべたまま、翔の目が切なげに細まる。
「…そろそろ、俺の気持ちに気付いてくれないか待ってるんだけど」
翔は前屈みになり、そっと柚子の顔を覗き込んだ。
「──…!」
ふいに低くなった翔の声に、柚子の頬は無意識のうちに赤く染まる。
「片思いの相手……、誰だか知りたいかい」
「相手…?」
「柚子ちゃん…」
「……ッ!」
彼の美しい顔が目の前に迫り
言葉を飲み込んだ柚子は半歩後ろにさがっていた。