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不良の彼は 甘くて強引
第19章 異変
「……はい」
「…えッ」
柚子を覗き込む翔。
彼は本を一冊、固まったまま動かない柚子の胸に押し付けた。
《必勝!〇〇大の文系化学》
「…あっ!」
ようやく状況を飲み込んだ柚子は慌ててその問題集を受け取る。
危ない危ない
いきなりのドアップについ見とれてしまった…!
「あ、ありがとうございます…!」
「うん、じゃあそろそろ帰ろうか」
「そうですねっ」
変にドキドキしてしまった胸を押さえながら、柚子は荷物をまとめて帰り支度をする。
その時
「──矢崎さん?」
「…?」
突然の背後からの呼びかけに驚いて振り向くと
見知らぬ男が立っていた。
わたしですか?
柚子が返事をした。
「そう、…市ノ瀬と仲良かったよね?」
「匠さんが…どうかしたんですか?」
男の問いに答える代わりに、柚子は質問で返す。
「実はあいつが、最近大学に来てないんだ。君なら彼女だし、何か知ってるかなと思ってさ」
“来ていない…?”