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不良の彼は 甘くて強引
第19章 異変


話を聞けば、その男性は匠さんと同学年で同学部の人のようだった。


来ていない…

なんてよくあることでは?


「いや…、市ノ瀬は単位を落とすのだけは面倒くさがっていたから。真面目に講義は聞かないけど、欠席は滅多にないんだ」

「そーなんですか!?」


わたしの服を買いにショッピングモールへ行った時に大学休んでたから、てっきりいつものことかと…!


「わたしは何も…、聞いていませんが」

「…そうか、あいつの住所も電話番号も誰も知らないから…。もう今週はずっと欠席だ」


それなら自分が知っていると柚子は伝える。

翔は壁に背をつきそのやりとりを無言で眺めていた。



何も聞いてないならいいと、その人は去っていった。





「具合でも悪いのかな…」

匠さんに限ってそんなことはない気もするが、やっぱり心配になる。


「電話してみたら」

「そっか……」


携帯を取り出して匠に電話をかける柚子。



プルル... プルル...
プルル....



出ない…



諦めた柚子はパタンと携帯を閉じる。



「どうしよう、今から匠さんの家に行ってみようかな」

どうせ今日はバイトないし、明日は休みだ。


「…いいと思うけど、彼の家は近いのかい?」

「近いですよ、〇〇公園のそばにあります」

「その辺りは人通りが少ない、もう暗くなっているから危ないよ。また今後…──」


何か言いかけた翔は少し考え込むと、壁から背を離し柚子の横に立った。



「いや、心配だろうからやっぱり今日行こうか。…彼の家まで俺が送るよ」






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