この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
不良の彼は 甘くて強引
第19章 異変
話を聞けば、その男性は匠さんと同学年で同学部の人のようだった。
来ていない…
なんてよくあることでは?
「いや…、市ノ瀬は単位を落とすのだけは面倒くさがっていたから。真面目に講義は聞かないけど、欠席は滅多にないんだ」
「そーなんですか!?」
わたしの服を買いにショッピングモールへ行った時に大学休んでたから、てっきりいつものことかと…!
「わたしは何も…、聞いていませんが」
「…そうか、あいつの住所も電話番号も誰も知らないから…。もう今週はずっと欠席だ」
それなら自分が知っていると柚子は伝える。
翔は壁に背をつきそのやりとりを無言で眺めていた。
何も聞いてないならいいと、その人は去っていった。
「具合でも悪いのかな…」
匠さんに限ってそんなことはない気もするが、やっぱり心配になる。
「電話してみたら」
「そっか……」
携帯を取り出して匠に電話をかける柚子。
プルル... プルル...
プルル....
出ない…
諦めた柚子はパタンと携帯を閉じる。
「どうしよう、今から匠さんの家に行ってみようかな」
どうせ今日はバイトないし、明日は休みだ。
「…いいと思うけど、彼の家は近いのかい?」
「近いですよ、〇〇公園のそばにあります」
「その辺りは人通りが少ない、もう暗くなっているから危ないよ。また今後…──」
何か言いかけた翔は少し考え込むと、壁から背を離し柚子の横に立った。
「いや、心配だろうからやっぱり今日行こうか。…彼の家まで俺が送るよ」