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不良の彼は 甘くて強引
第19章 異変
──…
大学を出て匠の家に向かう二人。
その間にも、空は確かに明るさを失い辺りは暗がりに包まれていく。
「本当にすみません…」
こんなところまで付き添ってもらい、柚子は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
構わないよ
翔はあくまで紳士的に答える。
「……」
柚子は心の内では、翔の先ほどの言葉が気になっていた。
“先輩が好きな人…”
わたしが知ってる人なら是非とも教えてあげたい。
こんな素敵な男性に思われているのだから…。
やはり、それはお節介なのだろうか。
ああ、でもすごくじれったい…!
今の柚子には、普段の美佳の気持ちが何となくわかるような気がした。
───
「ここが彼の家?」
なかなか…、良いアパートに住んでいる。
「はは…、学生が住むところではないですよね」
何故か柚子が恥ずかしかった。
「じゃあ…ここで大丈夫ですから」
わざわざ送り届けてくれた彼に柚子は礼をする。
「…なら俺は帰るよ」
帰りの駅までは市ノ瀬が送るだろう。
「行ってあげな」
笑顔で手を振り、エントランスへ入る彼女を見送った。