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不良の彼は 甘くて強引
第19章 異変
エントランスへ入った柚子は、自動ドアの前で立ち止まる。
もちろん暗証番号を知らない彼女は匠の部屋番号を確認してコールを入れた。
プルル...プルル...
呼び出し音が鳴る。
“避けられてる”
不意にそんな言葉が浮かんできて柚子は不安になる。
プルル...プルル...プルル...
しばらく鳴り続けた呼び出し音に、柚子の気持ちは徐々に沈んでいくのだった。
迷惑…だよね。
カチャ
「……!!」
呼び出し音が止まった。
「……、…入れ」
どこかしわがれたような、彼の声が聞こえた。
同時に、自動ドアのロックが解除されて彼女の前に開かれる。
「匠さん、いたんだ…」
自分を迎え入れたその扉に導かれ、少し緊張した様子の柚子は彼の部屋に向かって中へと入った。