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不良の彼は 甘くて強引
第19章 異変
確かにここよね。
階段を上がり先ほど確認しておいた部屋番号を見つけた。
扉に近づいて中の様子をもう一度確認してみるが、当然ながら何か物音が聞こえる筈もなく…。
「ふぅ…」
落ち着いて深呼吸。
ガチャリ...!
「あっ」
チャイムを押そうと手を伸ばした瞬間に扉が開き、中から出てきた大きな手にその手首を掴まれる。
「た、匠さん……!!」
こんばんは…
そう言おうとした彼女は、腕を捉えた匠に部屋の中へ少々強引に引き込まれた。
「んむッ」
柚子を引き寄せた匠は、そのまま混乱状態の彼女を抱き締めていた。
「……!!」
背後で扉がガチャリと閉まる。
“どうしたの…!?”
突然の抱擁に柚子は何も言えず目を見開く。
「…柚子」
頭上で小さく囁かれたその声はいつもよりずっと甘い…。
「匠さん…?どうしたの…」
「……」
気が動転して声が上擦ってしまっている彼女の問いかけに匠は答えない。
「ねぇ…!」
柚子は彼の背中をトントンと叩いた。
しばらくその体勢は続き、その後ゆっくりと彼の腕の力が弱まる。