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不良の彼は 甘くて強引
第1章 プロローグ
彼女の名前は
矢崎柚子(やざき ゆず)
153㎝と小さめな背丈、ほっそりとした華奢な体。
セミロングのさらりとした黒髪と淡い色のロングスカートが、風でふわりたなびく。
…清楚
そんな言葉が彼女にはピッタリだ。
「柚子、おはよう」
「おはよう美佳ちゃん」
表裏の無い性格の彼女が、周りに認められるまでにかかる時間はそれほど長くはなかった。
誰にでも優しく親切な対応をする彼女に、自然と人が集まる。
大学が始まって今日で3週間
わたしは幸せだった。
もともと女友達をつくるのは得意だったし。
(といっても友達関係は広く浅くがわたしのスタイルだけど)
特定の人と仲良くしすぎるとどうしても…、人間関係のドロドロに関わらないといけなくなる。それは嫌。
《柚子ちゃんって天然だよね》
人間関係に首を突っ込まない方法として、わたしは昔から疎いふりをしてきた。
問題がおこる度に、何も知らないととぼけるわたしを…昔から周りの子は " 天然 " と言うのだ。
だからいつの間にか、その天然キャラにのっかってしまった自分がいる。
でも天然のふりも今では別に苦でもない。それに、やはり偏差値の高い大学…
いろんな人がいるものも、皆それなりの常識を持った人たち。とても居心地が良い。
“ 初めは寂しかった一人暮らしにも、だいぶん慣れたし… ”
でも、ひとつだけ
わたしにはこの新しい生活への不安要素がある。