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不良の彼は 甘くて強引
第1章 プロローグ
「おはよう、矢崎さん」
───ッ!!
「あ…ッ おはよう、高橋君」
別に何も変な事はない。
同じ学部の男子に挨拶されただけだ。
ただ女子校出身のわたしは、親や教師以外の男性とほとんど会話することなく青春時代をすごしてしまったわけで
よって男子と話すの苦手。
そして──
わたしが男性が苦手な理由はそれだけではないわけで。
「そういえば柚子今日もマスク?風邪長引くね~」
「ああ…ううん、これ風邪じゃないんだ」
「へ?じゃあ何でマスクなの?花粉症とか」
「ふふっ、花粉症でもないよ。ちょっとね…」
「ふーん」
美佳ちゃんが
不思議そうにわたしの顔を覗き込む。
「まぁいいや、また後でね」
「うん」
マスク…
そう、彼女がマスクを使って顔を隠し始めたのは他でもない、あの事件が原因だった。
その事件こそが
彼女に男への嫌悪と、恐怖を植えつけた。