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不良の彼は 甘くて強引
第19章 異変
体調が悪いわけではなさそうね…
でも彼の様子はあからさまに普段と違う。
「何かあったんですか?………んッ…!」
缶ビールを持ったままそう問いかけた柚子は、後ろからそっと抱き締められた。
「あの……!…あっ//」
その首筋に匠の顔がうずまる。
“絶対におかしい…!!”
「…少し酔ってませんか?」
「ふん…、酔うほど飲んではいない」
戸惑う柚子をその腕に掻き抱きなおも甘ったるい声で囁く。
ドキドキと脈打つ鼓動を抑えて、柚子は困り果てた顔で部屋を見渡した。
あ……ッ
足下に落ちた、くしゃくしゃに丸められた手紙に彼女の目が止まる。
「これ…何ですか?」
抱きつかれたままの不安定な体勢で柚子は何とかその手紙を拾い上げた。
「──…」
きれいにしわを伸ばし、そこに書かれた達筆な文字に目を通していく。
その間、目を閉じた匠は何も言わずに
片手で彼女を捕らえたまま もう一方の手でその長い黒髪に指を通していた。