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不良の彼は 甘くて強引
第19章 異変
柚子の手から滑り落ちた靴が音を立てて地面に転がる。
「…ッ」
何が…どうなってるの。
「離して先輩っ…!」
今日、立て続けに二人の男の腕に抱き留められた彼女は、すっかり混乱していた。
「わたしは大丈夫です…!」
「嘘だよ」
「本当だから!!」
状況が全く飲み込めない。
なんでわたしは今、先輩の胸に抱かれているの…!?
それに──
「あいつに何をされた…!!」
何故、そんな事を聞くの?
「もう──…!!」
柚子の腕が抱きつく男の胸を叩く。
「もう…わたしの事は…!!…ほっといて下さい!!!」
「……!」
お願いだから…!
今のわたしに優しくしないで。
優しくされたら、また涙が止まらなくなる……!!
そうしたらまた
先輩に迷惑をかけてしまうから──
「先輩は関係ない…!!」
「…柚子」
「関係ないからッ……、離して……!!」
こんな事言いたいんじゃないのに
もう
八つ当たりだ…。