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不良の彼は 甘くて強引
第19章 異変
だが、それを聞いた翔の力は弱まるどころかさらに強く彼女を引き寄せる。
「離さない……!!」
「んッ…!」
彼の胸に押し付けられ、柚子は呼吸が上手くできない。
「これ以上…、あいつに傷つけられる君を見ていられないんだ…!!」
「……っ」
柚子の目が驚きに見開かれる。
「…君に泣かれると、俺が苦しい……ッ」
あの初夏の夜
浴衣祭りの日
肩を震わせながら俯く柚子は
翔に見られないように必死に涙をこらえた。
そんな彼女から、せき止めきれずに零れ落ちていく涙の雫。
──それをただ見るしかない
翔がどれほど辛かったか。
あの時
俺は何もできなかった。
君が泣きやむまで、じっと見守るだけ…。
紳士ぶるだけの俺は…
結局何もできない。
何故躊躇した?
君を
混乱させたくなかったからだ。
でも今は──
「もう、この気持ちを抑ることができない…!!」
君を渡したくない
あんな男に……!!