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不良の彼は 甘くて強引
第20章 すれ違いは…
アパートを後にして曲がり角を過ぎていく二人
「・・・・」
ベランダからその一部始終を見ていた一つの影が、無言のまま部屋の中へと戻った。
“馬鹿馬鹿しい…”
いましがた自分が柚子にした行動を考えれば、ここで彼女への怒りが沸いてくるほど
彼は単純ではなかった。
“ならこの感情は…”
──…寂しさか?
「…ハッ、…寂しさだと?…有り得ないな」
そんな感情、持ち合わせた覚えはない。
匠は自分で自身の愚かさを笑っていた。
キッチンへ向かい冷蔵庫を開ける。
「……」
ここで酒に逃げるほど
彼はまた
単純ではなかったのだった──。