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不良の彼は 甘くて強引
第20章 すれ違いは…
───…
それから、ひと月近くが経とうとしていた。
もうすぐ十二月に入ろうという季節、今年は猛暑がきつかったにも関わらず、冬の訪れは少し早いのかもしれない。
わたしはあれから結局
匠さんと話せていなくて…。
柚子が匠を訪ねたあの日
彼は次の講義からいつも通りに出席していた。
大学に来るようになった彼に周りの人間が休みの理由を聞いても、何も答えることはなかった。
「面倒だったからだ」
匠が一言そう言ってしまえば、大概の人間はそれ以上の詮索をやめる。
もちろん柚子も、匠が大学に来ていることは知っていた。
キャンパス内で巡り会うことも二、三度とあり…
だがそのどちらも、柚子に気付いた彼は一瞬の動揺の後に顔を背けた。
「……」
そんな匠の態度に、柚子はストレートに傷つく。
素っ気ない態度には慣れていても、考えてみれば冷たい扱いには慣れてはいなかった。