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不良の彼は 甘くて強引
第20章 すれ違いは…
そして…
柚子を困らせるものが
もう一つ。
それは影でひっそりと伝わっていった。
《柚子が匠と別れた》
そんな噂が広まっていることを、大学にいると嫌でも肌で感じてしまう。
もともと柚子は匠と頻繁にあっていたわけではないし、キャンパス内で親しげにする二人を見た者などいるわけないのである。
なのに何故……
人の噂というのは末恐ろしいものだと、改めて彼女は感じていた。
「…こういうの大嫌い」
思えば勝手なものだ…。
匠と出会って間もない頃の柚子を、何の根拠もなく彼と付き合っているなどと噂を流しておいて…!
そうかと思えば、今度は別れたことを嬉しそうに伝え始める。
『…もう、ほっといてよ!!』
先日、噂を聞いて心配してきた美佳に、柚子はそう叫んでしまった。
美佳ちゃんの方は彼氏と順調なようだ。
わたしの気持ちがわかるわけない……!
「……八つ当たりなんて、最低…」
言った後で余計に傷つくのは自分の方なのに。
だがこの時彼女は
この噂が広まることのもう一つの脅威に気づいてはいなかった。