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不良の彼は 甘くて強引
第20章 すれ違いは…
市ノ瀬 匠──
この男が柚子に関わっていることで、必然的に避けられていたもの。
彼女に忍び寄っていた罠が
護るもののいなくなった柚子に再び近付いていた。
「柚子ちゃん」
講義後の帰り道
少し用事があって遅めになった柚子は、暗がりに包まれたキャンパスを出口に向かって一人歩いていた。
「……!!」
まさかこの男が待ち構えているとは知らずに…。
柚子に声をかけたその男は
口元を醜く歪めて下品に笑った。
「こんばんは……ヒヒッ」
忘れもしない、この男
「あ…!」
柚子の唇が震える。
「久しぶりだねぇ……柚子ちゃん…」
銀縁眼鏡の奥の
その目がぎらつく。
「……あ、あなたは」
沼田トオル…っ