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不良の彼は 甘くて強引
第20章 すれ違いは…

それはこの春の出来事。

沼田トオルから受けた悪夢のような陵辱が柚子の脳裏にじわじわと蘇ってくる。


「どうして…ここに…!!」


あの時の

恐怖が、苦しみが、屈辱が。



「どうしてって酷くない?…僕はずっとこの大学にいたし、ずっと柚子ちゃんを見てたのに……」


そして、
抗えなかった快感が……。


今までずっと…思い出さないよう、思い出さないよう、頭の片隅に追いやってきたのに。


「何の用ですか……!!」

精一杯絞り出した声は、襲いかかる恐怖ですっかり震えてしまっていた。



「あの物騒な男が柚子ちゃんから離れてくれたからね、やっと君と一緒にいられる…」

「──…!」


匠さんのこと?

そういえば…脅しておいたからもう心配ないと匠さんが言っていた。

どういう脅し方をしたのかは知らないけれど、思えばあれからこの男がわたしの前に現れたことはなかった…。



“ つまり、知らず知らずのうちにわたしは彼に守られていたということね…… ”


そして、彼に突き放されたわたしはまた

この男に狙われている──




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