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不良の彼は 甘くて強引
第20章 すれ違いは…
「…スマホを砕かれただけでは物足りなかったか」
「…ゆ…許してぇ゙…」
「──…忠告通りにしてやるよ。…どこがいい?……腕か、…脚か……!?」
匠の声が脅し口調になる。
「…このまま、首でも構わんぞ……!!」
匠の狂気に柚子は怯える。
このままだと
本当に殺してしまう
そう思わせる雰囲気が彼からは漂っていた。
「もう止めないと…!!」
柚子は匠の腕を掴んで引っ張るが、それはまるで鋼鉄のように動かない。
「…これ以上は!!」
「……」
匠の目は彼女には向けられない。
「…ねえッ!!」
「お前は黙ってろ…」
彼の目つきはすっかり…
"あの時の"ものになっていた。
あの海での
苦しむ相手を見下ろす、何の慈悲も感じられない冷たい瞳。
「ぅゔ……」
締め上げられる沼田は、白目寸前のその目で助けを求めて柚子を見る。
「お願い…!!」
すがる声で彼女は匠の腕を揺さぶる。
「……っ」
匠は歯を食いしばり
呻く沼田を睨みつけた。