この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
不良の彼は 甘くて強引
第20章 すれ違いは…

目の前の翔を見る匠の顔に
もう皮肉な笑みは浮かんでいない。

「──…」

彼は何も言葉を発することなく、翔が口を開くのを待っているようであった。


匠には若干背の足りない翔は、僅かに見上げるかたちで静かに彼を睨みつける。



「…これ以上、彼女の侮辱はやめてくれ…!!」

「…ふっ、面白いな。…ヒーローのご登場か」


暗い大学内…

静かに睨み合う二人の男。

柚子は周りの空気がピリピリと痛むような錯覚に陥った。







長い沈黙





痺れを切らした匠の身体が少しだけ後退し、その拳がゆっくりと構えられる。



「ダメ…!!」


翔の背後で、柚子の制止の声があがった。





ヒュッ




「匠さん!!!」




翔に向かって突き出された匠の右腕。





「……!?」



──それが翔の顔に当たることはなかった。





「…!!」



ツーーー…



鼻に当たる直前で止められた拳に、翔の額から冷や汗が一筋、頬を伝って流れ落ちる。





……ふっ




「…殴って欲しかったか」



凍り付くような低温ボイス。


翔の喉が唾を呑み込みゴクリと音を鳴らした。




「悪いがヒーローごっこに付き合う暇はない」

「……!」

「お前たちで勝手にやっていろ、苛々する…!」



腕を下ろした匠は、そう言い捨てると身を翻して二人に背を向ける。



柚子の方は見ないままに、最後に彼は続けた。






「また、あのメガネ男がお前に近寄ってくるようなことがあれば…──」




「…!!」



「…いや、何でもない…!」







匠は立ち去っていった。








/694ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ