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不良の彼は 甘くて強引
第21章 弱者は弱いか

匠さんのこと…

「何も…」

そうだわたし、彼のこと何も知らない。

匠さんが自分の話はほとんどしてなかったこともあるけど、わたしがずっと知ろうとしてこなかったから。



「…匠の親父さんが死んだことは?」

「知っています…」


急に落ち着いたトーンで問い掛けた修一に、柚子は小さく頷き

「……!?」

彼女の横の翔は目を見開く。



「このことが直接どう関係すんのかは俺もしらねぇけどな」

「……」

「匠の親父さんは…ずっと入院中だった」

「ずっと…」

「七年間ぐらいだな、ずっと病院で目を覚まさなかった……詳しく知らねーけど、いわゆる植物状態? つーの?」

「……!!」

「今回親父さんが死んで、あいつの中で何か思い出す事があったんだろう」


そんな事実は柚子には当然初耳であり、彼女は困惑する。


いったい何を…

思い出すというの?


どこまで踏み込んでいいのか躊躇しながら恐る恐る聞いた。



「──…いや、これ以上は俺からは言えねぇ。匠のプライドに関わる」

「…随分と衝撃的な話ではあるが、それが彼女とどう関係するのかがさっぱりだよ」

翔は冷静だった。



「俺にもわかんねえって言ってるだろ!?」


あいつの複雑な頭ん中は俺には理解できねぇよ


修一はそう吐き捨てた後、最後に一言付け加えた。




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