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不良の彼は 甘くて強引
第22章 囚われた生き方
「…先週、お前の女が俺の職場をわざわざ訪ねて来やがったぜ」
「──…!」
ペンの音が途切れる。
真後ろに腰掛けている修一に、匠は背中越しに問い返した。
「余計なことは言っていないだろうな…!」
「少し言っちまった。お前の親父さんが関係してるってな」
悪びれる様子はみせない。
舌打ちとともに溜め息をついた匠は
鼻を鳴らして笑った。
「七年も前の事などとっくに忘れた…。あの藪医者とは何の関係もないこと──…」
「無理すんなよ」
「……」
言葉を遮った修一の声に、匠は不機嫌そうに少しムッとした表情になる。
「…お前は確かにあの事件が起こる前からずっと、中学一の不良だったけどな。…だが親父さんの自殺をきっかけに変わった事がある」
修一はテーブルに広げられた匠のノートに目をやる。
「高校なんか行く気はないと言ってたお前が、私立の有名校に入り、そして結局…大学まで通ってるわけだ」
「……」
「…一転、意味のない喧嘩は増え続け、とくに興味も無さそうなのに俺らと女を犯し始めるようにもなったなぁ」
まるで、積もる苛立ちを
誰彼構わずぶつけるように──
「今のお前は……随分と窮屈そうじゃねぇか」
「…貴様…」
匠は後ろを振り返り、ニヤリと笑った修一を鋭い目で睨みつけた。
「俺が窮屈だと?…笑わせるな」
「……ああ、本当にお前はがんじがらめだもんな。
例えば…──」