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不良の彼は 甘くて強引
第22章 囚われた生き方
「惚れた女に対してさえ、その想いに素直になることを…自分自身が許してくれねぇ」
「……!!」
修一に睨みをきかせていた匠は
動揺して目を見開く。
「…くだらねぇ拘りは捨てちまえ。あの女は…親父さんを追い詰めた人間たちとは何の関わりもないだろう」
いったい何に固執してんだ
修一は吐き捨てるように言った。
「……」
匠は彼から目をそらし、ソファーの背もたれに肘をかけたまま静かに答える。
「俺は…柚子を恨んだりなどはしていない……、あいつは…この俺を満たすことができる女だ」
あいつなら
俺は愛することができる──
予想外の返答。
今度は修一が目を丸くする番であった。
「じゃあなんでお前は…」
好きならば奪えばいい
彼には、匠の言うことの真意がわからない。
匠はそんな修一を見て意味ありげに笑った。
「柚子が好きなものを、俺は好きになれない…。俺の感覚はとっくの昔におかしくなっている。…そんな俺と共にいれば、あいつを怯えさせるばかりだ」
匠は背もたれにかけた肘を外しテーブルの方に向き直った。