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不良の彼は 甘くて強引
第22章 囚われた生き方
───…
十二月も終わろうというこの季節
年明けに向けて、残す行事はあとひとつ。
街はすっかり
恋人達がおりなす聖なる夜に。
それは実に見事な…
ホワイトクリスマス・イヴ だった。
「…くしゅんッ」
約束の場所で彼を待つ柚子。
冷え込みがひどいと思ったら
ちらちらと降ってきた雪。
綺麗……だけど
彼女の胸のうちは、その美しさに酔いしれるような余裕はなかった。
「……ふぅ」
わたしがこうして待っている相手は、三上先輩。
イブのお誘いを受けたのは先週のこと。
先輩がわたしを気遣ってくれているのはわかったけれど、流石に断るつもりだった。
だって、クリスマスに二人きりなんてまるでデートみたい……。
『恋人としてでなくてもいいんだ。……ただ、イブの夜を君と一緒に過ごしたい。大丈夫、門限はきっちり守るよ』
でもこんな風に言われると
普段あれだけお世話になってるものだから断るに断れず…。
…クリスマスを一人で過ごそうとしていた女の子。
無理な誘いで連れ出して、その寂しさを紛らわしてあげられれば……
そんな翔の真意に
柚子は気がついているのだろうか──