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不良の彼は 甘くて強引
第22章 囚われた生き方

翔が予約をしていたレストランに連れられる柚子。

なんとそこは、高層ビルの中にある有名レストランだった。

壁一面の窓ガラスから一望できる都会の夜景に、田舎育ちの彼女はそれだけで御馳走様だった。


「…先輩って、かなりのお坊っちゃんですか?」

柚子の質問はいつでもストレート。


「そう見えなかったかい?」

確かに、見た目とこの紳士的な態度は どこかの国の王子様でも納得できるけど…。



店内はしっとりとした明るさの落ち着いたライティング。

椅子に腰掛けた柚子はコートを手渡す。


“ドレス着てて良かった…”


事前に、少しフォーマルな服装で来るといいと翔から教えられていたので、今日の彼女はドレス風のベージュ系のワンピース。

胸下切替でAラインのシルエット

上身は花モチーフのレース使いで女性らしい印象だった。


一方の翔も、いつもは緩めの服装だが今日はきっちりとしたジャケットスタイル。



“…匠さんと似てる ”


不意に匠の事を思い出した柚子は慌てて振り払おうとした。

今は翔と過ごしているのだから、彼に申し訳ない心持ちがしたから。



「ウェルカムドリンクは…柚子ちゃんはお酒はまだ駄目だよね?」

「はい、まだ十九です」

「…じゃあオレンジジュースの方にしてくれ」


そう言って注文をすました翔


柚子は彼に比べて自分がひどく子供っぽく思われ、何となく恥ずかしくなる。


それにやはりこの特別な空間に慣れない彼女は、照れくさいのも入り混じってそわそわと落ち着かなかった。


運ばれてきたジュースを両手で持ってごくごくと飲む彼女を見て、翔はクスリと微笑む。



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