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不良の彼は 甘くて強引
第22章 囚われた生き方
「たとえ君ひとりを愛せたとしても…、十代の時に植え付けられた嫌悪感を拭い去るのは難しい。──…俺の犬嫌いと同じようなものかもしれないね」
これは理屈じゃないんだ。
「先輩、わたしは……」
匠さんと一緒にいたい
彼に…側にいてほしい
でも
そんな風に世間を憎む彼の姿を見ると
そう思わざるを得ない彼の気持ちを考えると
すごく、悲しいの…。
「──…」
その口元は微笑んだまま…
翔は目を細めてクシャリと顔を崩す。
柚子の肩に片腕をまわし
自らに引き寄せた。
「だったら…君が彼を救え」
彼女の頭に顔をうずめて静かに囁く。
「…過去の事件に囚われたあの男の心を、君が助け出してやればいい」
そうして、おもむろに
柚子の額に唇を落とした。
「…! 先輩…──っ」
言葉を発しようとした柚子の唇を翔の人差し指が制する。
「…本当はここにキスしたいけど……」
「……!」
「…今はやめておこう」
「…、ごめんなさい……」
柚子は申し訳なさそうに
彼のキスを断る。
そしてもう一度彼の腕に引き寄せられ、その肩に顔を預けた。