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不良の彼は 甘くて強引
第22章 囚われた生き方
「気にしなくていい。今日来てくれただけで…俺は十分…嬉しかったから」
しばらくの間、そのまま翔は片腕で彼女を強く抱き締めていた。
そうして柚子を離した彼は、鞄から小袋を取り出す。
「はい、どうぞ。…クリスマスプレゼント」
「そんなッ…」
「開けてみて?」
翔にせかされ袋を開けると、中身はアロマキャンドルだった。
「あまり高価なものは逆に申し訳ないからね」
「…嬉しい」
袋に顔を近付けて、その香りを胸一杯に吸い込む。
甘いが、とても品の良い…
「優しい香り…」
先輩みたい。
余裕のなかった気持ちが
少しだけほぐされていくよう。
「…やっと、いつもの君の笑顔が見れたな」
自然と微笑んでいた柚子の横顔に、翔は心からホッとした表情を見せた。
君が悲しむくらいなら
俺が……
代わりに苦しもう…。
もみの木は真っ白なライトアップで夜の街を幻想的に映し出す。
柚子の頭に積もり始めた粉雪を、翔は再びそっと撫で落としていた。