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不良の彼は 甘くて強引
第23章 お前を喰わせろ
「……」
殺意すら感じられる鋭い目の男の足が、ゆっくりと公園へ向けられる。
そこで騒いでいるガラの悪い高校生たちは、自分たちの身の危険に気づかない…
《もうやめて》
「──…!!」
匠の足が止まった
一瞬の内に瞳の色が変わる。
片手で額を覆い、その下の顔が苦しげに歪んだ。
「何故…止める……!!」
奴らは社会のクズだ…!!
あんな弱者を許す必要がどこにある!
やめろ…──
そんな目で俺を見るな
俺に怯えるな……!
「──…ぐッ」
頭の中で自らにしがみついてくる彼女の影を振り落とすように、額にあてた手が、頭を乱暴に掻きむしる。
「…面倒な…!!」
途端、公園に向けられた足がきびすを返し、彼はアパートへと向きを変えた。
脳内にこだまする声が、匠を追い立てるように纏わりついてくる
彼の歩幅が徐々に大きくなる
──そして
曲がり角を過ぎた時
彼の足はピタリと止まった。
……柚子?