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不良の彼は 甘くて強引
第23章 お前を喰わせろ
「──…柚子」
立ち止まった匠の目には、アパートの前で白い息を吐きながら佇む彼女の姿が映っていた。
幻覚か?
「…ふっ…勘弁してくれ」
後ろからも前からも…
お前は俺を追いつめる。
いい加減
これ以上俺を乱してくれるな。
匠はゆっくりとその場所へと近づいて行った。
「・・・・」
ピンクと茶色のボーダー柄のマフラーから、小さな頭をちょこんと出して
何やら手提げ鞄を大事そうに両手で抱え、寒さに震えながらアパートを見上げている。
幻覚の彼女が……
幻覚ではないとわかったのは
突然現れた彼の姿に、振り返った彼女が驚いて鞄を落としそうになったからだ。