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不良の彼は 甘くて強引
第23章 お前を喰わせろ
「……正気か」
「…ハァ…」
「…やめておけ、今の俺は苛ついている…。何をするかわからないぞ」
「ですからッ…お話が…!」
匠が何を言おうと無意味だった。
真っ赤な鼻でガチガチと震えながら、なおも彼を見上げるその目は揺るぎない──
ガチャ...
匠は彼女を無視して部屋の鍵を開けるとその中へと消える。
「……」
ドアの前に取り残された柚子は、おぼろげな目になり…鞄を落とさぬように震える手を合わせて息を吹きかける。
はぁーと小さく息を吐くと、切なげに笑った。
やっぱり……ダメかな…
マフラーに顔をうずめて瞼を下ろした。
..ガチャリ
「…何をしている」
「あ…ッ…」
「そのまま凍死する気か、…さっさと入れ」
コートから僅かにはみ出した彼女の手を掴み取り、ついに折れた匠は柚子を部屋に引き入れていた──