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不良の彼は 甘くて強引
第23章 お前を喰わせろ
柚子を引き入れドアを閉めた匠は目を見開く。
「何だこの手は…!!」
匠が掴んだ彼女の手は、まるで体温どころか氷のように冷たかった。
「お前…!…いつからあの場所で突っ立っていた」
「…さ、3時間くらい……前」
「!!?」
信じられない時間だがこの凍えた手をみるかぎりあり得なくもない。
馬鹿かこいつは
冗談じゃなく凍死するぞ…!
「…何のつもりだ」
「匠さんが出てくるの…待ってて……」
「何故エントランスで待たない…!」
「……、…入る勇気がなくて」
そう呟いた彼女は、自分でも無茶なことをしたと自覚し始めたようだ。
小さく悪態をついた匠はそのかじかんだ指を握り締める。
「──…かせッ」
少々乱暴にもう片方の手も取ると
それらを合わせて包み込むように、自らの手で温め始めた。
「──…」
だがそうなってくると、彼女の身体で手よりも先に温まっていくところがあった。
恥ずかしそうに俯いた柚子の頬は、その鼻に反比例して赤く染まっていく…
黙って両手を握る匠に、自身の胸がドクドクと音を速めるのを感じていた。