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不良の彼は 甘くて強引
第23章 お前を喰わせろ
「さっさとその冷たいコートを脱げ。…部屋が暖まらん」
彼女の手がある程度温まると、匠はそう言って部屋の奥へ消える。
もともとアパートの外で話をしようと思っていた柚子は玄関先で躊躇した。
思わず追い掛けて匠さんの部屋に来てしまったけれど…
「……怖いか?」
奥に見える匠は、妖しく口角を上げてそう言った。
大丈夫……
もう、怖くない…
「怖くない…!」
静かな…しかし力強い声で彼女は匠に答える。
コートとマフラーを脱ぐと、鞄だけを抱えて奥に進んだ。
「……」
部屋の様子
やっぱり、あの日と何も変わらない……
同じ風景
この人は、本当にここで
"生きて"いるのだろうか──
何も言わず立ち尽くす彼女をいったいどうする気なのかと見守る匠
部屋が大分に暖まったころ、自らもジャケットを脱ぎ捨てた。