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不良の彼は 甘くて強引
第23章 お前を喰わせろ
この、彼の冷たい瞳…
今までにいったい何度向けられたことだろう。
悲しい
…けれど
今のわたしは、こんなことを嘆いていられないくらいに
もっと苦しい──
「──…同情って…そんなに醜いことですか?」
柚子の瞳がゆらゆらと揺れ始めた。
「立場が上とか下とか…そんな事ばかりを考えて、今までずっと…周りの気持ちをはねのけて生きてきたんじゃないですか」
「…?」
「憐れみはもっと綺麗な感情…、怒りや妬みと同じ様に人なら誰でもが生まれもった大切な気持ち…!」
だから、あなただって持っているはず…!
恨みだけではないでしょう?
柚子の声を聞いた匠は、首を傾けてさらに鋭く彼女を見下ろす。
「…俺には奴らを憐れむ余裕など無い。そんなものを求める連中には…代わりに鉄槌を与えてやるよ」
「………どうしてッ…そうなるの…!?」
「それが俺の生き方だ………弱い人間たちが妬みの対象を欲するならば、俺がその役をかってでる」
そして、連中が望む理想の権力者になってやる。
それこそが
復讐の形。