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不良の彼は 甘くて強引
第23章 お前を喰わせろ
「そんなのッ…おかしい…!」
「…お前には理解できん」
それに
──する必要もない
いや、お前は決して
理解などしてはいけない。
「だから、突き放したんだ…!」
そうだ、柚子
お前は俺とは違う…。
お前には人を愛する心も
慈悲や憐れみもある。
いたって正常なのだから。
「…これ以上俺に関わるべきではない」
壁に添えられていた匠の手が柚子の頬にそっと触れると、彼女の目尻から零れたそれが彼の指でせき止められた。
彼女に向けられていた冷たい瞳はいつの間にやら熱を帯び
眉間に皺を寄せなんとか声を絞り出す。
「──…お前は…俺にはあまりに純粋すぎる…!!」
「……!」
涙の溢れる柚子の目はそんな彼を真っ直ぐに見つめかえす。
だがその一途さが、かえって匠には辛かった。
寒さのせいではないだろうに
頬に添えられた指が小さく震えだした。