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不良の彼は 甘くて強引
第4章 目覚め
柚子が帰るのを見送る匠
彼女のその影はそそくさと角を曲がり彼の視界から消えた。
……───
昨夜の事
気絶した柚子を、その腕に抱える匠。
修一は床に落ちている彼女の携帯を開き通話履歴を調べる。
「通報はしてないのか」
「あぁ…そうみたいだな、馬鹿な女だぜ」
乱暴に携帯を閉じた修一が言った。
「おい、こっちはどうする?」
手足を縛られて怯える女子高生を仲間が指差す。
「俺はもういい、興ざめだよ、こいつのせいでな」
修一が吐き捨てる。
「ならもう帰すか」
そう言って二人の仲間が女の拘束を解いた。
女は口のガムテープを剥がすと、一目散に出口を目指して走り出す。
が、出口にたどり着くと思い出したように気絶した柚子を見て、逃げていいものか躊躇した。
「…安心しろ、この女は殺さない」
匠は女子高生に言う。
「ただし
俺たちのことは他言無用だ、……誰にも話すな」
脅しの声に変わる。
「…わかったら、行け」
女子高生はまだ迷っている。
「……さっさと、行け!!!」
倉庫に響き渡る匠の大声に
怯えた女子高生は飛び跳ねるように一目散に走っていった。