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不良の彼は 甘くて強引
第25章 温もり
「──…匠さん、大丈夫ですよ。この子達は咬みませんから…」
《ふれあい館》
そこに集められているのは家庭用の動物たち。
「俺は入らん…!」
柵越しに向かい合った二人。
柚子が入り込んだスペースには、様々な種類の犬たちが歩き回り、時には腹をだして寝転がっていた。
「そんなに犬が怖いんですか…?」
「怖くはない、嫌いなだけだ」
中へ入るように催促する柚子だが、匠は断固として首をたてに振らない。
そうこうしている内に、入り口で立ち止まった彼女の脚に犬が一匹すり寄ってきた。
「…こんなに可愛いのに」
柚子が溜め息とともにしゃがみ込んでその犬と目線を合わすと、ペロッと顔を舐められる。
「きゃッ! くすぐったいっ」
毛並みの長いゴールデン
柚子は昔から可愛がっていた近所の飼い犬を思い出した。
よ~しよしよし
満面の笑みで犬の頭をぐしゃぐしゃと掻いてやる。
「…」
そんな彼女を上から見下ろすその目つきは穏やかでなかった。