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不良の彼は 甘くて強引
第25章 温もり
「……おい、後ろからでかいのが近付いてるぞ」
「ん」
しゃがみ込んだ彼女の背後から近付いてきた犬がもう一匹。
「…わ!シェパードですよね、あの子」
「なら警察犬だな。咬まれるぞ柚子」
「まさか…、おいでおいで」
警戒心丸出しな匠をよそに柚子は優しく呼びかけた。
ゆっくりと近付いてくる…。
手を差し出す彼女。
その彼女越しに見える、柵に寄りかかった男。
「……!」
彼と一瞬だけ目があったシェパードは、怯えたように立ち止まってしまった。
「・・・!?」
「あ!! 匠さん!?…威嚇したら駄目ですよっ」
「していない!」
不本意な犬の反応に思わず声を荒げた匠。
“少し睨んだだけだ…! ”
大丈夫だよ?
ぺたんと床に顔をつけてふせをするシェパードの頭を撫でながら、柚子はそう言ってあやした。