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不良の彼は 甘くて強引
第25章 温もり




──…スッ




不器用に犬を抱いた匠の腕に

柚子はそっと手のひらを重ねた。




「大丈夫…──」


「……ッ」



腕の中のダックスは、自らを抱えるその男を見上げる。


すると、匠の表情が僅かに

苦しげに崩れた。




「…離しては駄目です」

「わかっている…!」



微かに震えだした彼の手を包むように、柚子も自分の手で支える。




あなたはいったい
何に戸惑っているの…?



そう聞いてみたくとも
今の彼に答える余裕はないだろう。




匠はあくまで表情に出さない。


それでも、彼の内面の揺らぎが彼女にはわかったような気がするのだ。



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