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不良の彼は 甘くて強引
第25章 温もり
「…温かいでしょう?」
人間からの温もりを受け取ることが難しいならば…
先ずは、動物達から受け取ってほしい。
人を好きになれないならば
この、純粋な生き物たちから…。
「……ッ!?」
丸くなっていたダックスが、ふいに背を伸ばし匠の唇に鼻先を押し付けた。
顔をしかめた彼は必死に避けようとするが、その犬は彼の胸によじ登って頬を小さな舌でペロペロしている。
「…やめろ!」
「ふふっ、好かれちゃいましたね匠さん」
本気で嫌がる匠
「…っ……舐めるな…!」
「…せっかく、この子は匠さんのことが好きなのに…」
柚子は犬が落ちないように細心の注意を払いながらクスクス笑っている。
「…あっ…柵から出したらいけないですよ……ッ!
………???…──!!」
逃げようと手を離しそうになった匠に
咄嗟に犬を抱きかかえた柚子。
匠は片腕を犬から離し、身を乗り出した彼女の背に回して引き寄せた。
「…??」
「犬は好きではない…!…お前の方がいい…」
「匠さん…──」
柵越しに抱き合う二人の間で
柚子の腕に抱えられたダックスフンドは窮屈そうに首を傾げていた──。