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不良の彼は 甘くて強引
第25章 温もり


「…締め付けられて苦しかったら、すぐにおっしゃって下さいね」


匠の肩にかけられた巨大な蛇はゆっくりとその身体に巻き付いていく。


「何かに巻き付いていないと落ち着けないのは…これも習性ですか?」

「そうなりますね」

「巻き付く力ってどれほどでしょうか」

「この種類はなかなか強いですよ。小型のワニなら絞め殺して捕食しますから」


巻き付かれた当の本人をよそに弾む会話。



「……」

自分の腕にしっかりと絡まってきた尻尾を眺める彼の目つきは、決して穏やかでない。



「匠さん…どうですか?」

「どうもない」

「怖いですか?」

「…怖くはない」


味気ない返答。


だがその瞬間
柚子の目がきらりと光った。




“ ──…!! ”



わかった。

気付いちゃった、匠さんの癖。



匠さんはめったに表情を崩さないし声も荒げないけど…


その代わり

喉仏がむちゃくちゃ動いてる。



動揺した時は、顔に出す代わりに喉でこらえてるのかな。



ふふっ


気が付いてしまった…!




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