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不良の彼は 甘くて強引
第26章 連鎖
「柚子…」
「……!!」
彼の腕から解放された男が
どさりと床に崩れ落ちる。
…先ほど、健吾を呼んだ声はその男のようだった。
だが彼は
足元にうずくまるその男に
顔を押さえて呻く健吾に
目をやることはない。
その瞳は真っ直ぐと、部屋の隅で縛られた彼女…ただひとりに向けられていた。
他のものなど、目に入らない。
──無事だったか…
カツカツと大きく靴音を響かせながら柚子の元へ向かう。
自らのジャケットを脱いで、その震える身体を包み込んだ。
「…匠さん…っ」
「……」
片膝をついて柚子を抱き締めた匠は乱れた息を整えながら目を閉じる。
彼の呼吸を感じた瞬間
柚子の心臓がドクンと鳴った。
来て欲しくないと、あれほど願っていたのに…
彼の姿をとらえた途端に安堵の気持ちがこみ上げてきた。
…だが、あまり長い間
こうしているわけにいかない。
「……悪いな柚子」
「……?」
──ッ…!!?
ドスッ
彼女のわき腹に
匠の一撃が入れられた。
意識を失った柚子を
彼は目を閉じて抱き締めたままであった──