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不良の彼は 甘くて強引
第26章 連鎖
「…女は……何ともなかったのか」
意外だったが
これは幸いなことだ。
匠にとっても、健吾にとっても…。
「お前は取り敢えずそいつ連れて帰れよ…匠。後片付けは俺がやろう」
もうじき連絡を入れた仲間が数人ここに来る筈だ。
「……助かる」
柄にもないことを言った匠は
柚子を運んで出口に向かう。
「──‥まて…よ…ッ!」
その時、それを呼び止める声が上がった。
「笑わせんなよ匠…っ」
「……」
「すっかり…飼い慣らされた猛獣だな、お前は…! なんてざまだよ…」
「貴様には関係ないことだ」
そう突き放した彼の背中に
健吾の皮肉気な笑いが投げかけられる。
「…ハッ、今更どう変わっても…お前がやってきたことは俺ら以上だッッ…それに」
「…」
「お前とその女じゃあ、上手くいくわけないな…。そいつは、過去のお前を知ったんだからよ……!!」
「──…」
柚子に何か話したのか
余計なことを…。
だが、まあいい
「…遅かれ早かれ、直に知ることになっただろう」
今がちょうどいい──
匠は小さく鼻で笑い
薄暗く、カビ臭い部屋を後にした。