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不良の彼は 甘くて強引
第26章 連鎖





───…




彼がバイクを止めた場所は
自分のアパートではない

そこは柚子のアパート前だった。




「──…ん…」


ブレーキ音を鳴らして停止したバイク、ほぼ同時に腕の中の彼女が目を覚ました。


匠は背中の結び目を解くとバイクを降りて、鞄を肩に掛けるとくるまれた柚子を運んでいく。


柚子のアパートは何か特別なセキュリティーがあるわけではないので暗証番号などは不要だった。




部屋の前まで来た二人。



「あの…っ」

「…鍵は鞄の中か」

「…は、はいッ…ここに…」


抱き上げられたまま、鞄の中を捜して彼女が内ポケットから取り出した鍵には

兎型の木製キーホルダーが付いていた。


それは動物園のグッズショップで匠が柚子に買ってやったものだ。



……あれから半日も経っていないというのに


「……」


何故、こうなった。




無言でそれを受け取った匠は柚子を抱いたままドアを開鍵しその中へ入っていった。




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