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不良の彼は 甘くて強引
第27章 柚子の過去

「…やっぱり嬉しいでしょうね。ひとり娘が、こうして自分の後を継いでくれるっていうのは」


ドキッ…


その言葉に、柚子の箸が止まる。


「柚子ちゃんはお父さんと同じように弁護士を目指してるんでしょう?」

「…そ、それは」

「そうなればとても嬉しいことですが、まだこの子の進路は未定ですから…」


口ごもった柚子の代わりに父が叔母の問いかけに答えた。



「俺だったら、弁護士より検察官になりてぇ。守るより攻める方が張り合いがあるぜ」

「あんたは黙っときなさい!」


おどけながら割り込んだきた従兄弟を叔母はぴしゃりと黙らせる。



「──…でも法学科に進んだということは、柚子さんは法律関係の職を目指すのだろう?」

「はは……」


柚子は取り敢えず笑ってごまかすしかなかった。



自分で自分がわからない。


従兄弟のお兄さんは、確実に自分の道を選んで歩いている。

わたしだけ…曖昧なままでフワフワしてる。



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